佐久は、古くから稲田養鯉による鯉の養殖技術を蓄積しており、
稲作生産調整の転作品目として昭和40年代ころから、
「鮒」の水田養殖が急速に普及しました。
稲の中は、天然飼料の繁殖や摂取に都合がよく、さらに真夏
の水温の上昇を抑える効果があるため、鮒と稲作の共存が
可能となります。9月上旬の水田水切り時期には、体長が
2〜3cmとなった鮒が収穫されますが、鮒を養殖する水田は
農薬を使用しない証となるため、稲作の有機無農薬米の生産
にも一役かっています。鮒の活魚は毎年
9〜10月に限られ販売されていますが、甘露煮風に煮るなどす
ると頭や骨が丸ごと食べられる健康食品として珍重されています。
「子鮒の押し寿司」は、佐久鯉発祥の地・佐久市桜井地区や野沢地区の郷土料理で、水田で飼育された
子鮒の甘露煮のほろ苦さと甘さが、有機無農薬米の寿司飯とよく合い、一口食べると口の中に佐久の自
然が広がり、故郷の懐かしさが思い出されます。
佐久に根付いてきた、伝統の食文化をぜひご賞味ください。 |