4月25日㈪午後4 時現在の被害は「死者14,358 名」、「行方不明者11,889 名」、「負傷者5,314 名」。3 月11 日㈮午後2 時46 分に発生した本震は記録ある限りでは、日本史上最大のM9.0 の巨大地震でした。
 発生後、さらに三陸沖の南北500 キロの青森、岩手、宮城、福島、茨城の各県ではM8.0 クラスを含む四カ所を震源として群発的に地震が発生しました。本震があってからは、僅か20 ~ 30 分で到達最高点は37.9mという超巨大津波が沿岸の住居、工場、学校、役場など根こそぎに破壊し尽くしました。その惨状を多くの国民はライブ映像で見せられました。

 19 日㈫に開催された「日本商工会議所の総合政策委員会」で、福島商工会議所 瀬谷会頭、花巻商工会議所 宮沢会頭から報告がありましたが、瀬谷会頭は「我々はまだ原発被害が拡大しており先の見えない恐怖感の中にある」とおっしゃっていました。
 花巻の宮沢会頭からは、国をはじめ行政の対応のスピード感のなさに怒っておられました。21 日㈭開催の日商の常議員会では、被災地を視察しお見舞いに行かれた岡村正日商会頭からは訪問先の商工会議所の現況、被災地の現況等をスライドで説明されました。佐久市との友好都市大船渡の商工会議所では、会館の二階まで到達した津波の被害は甚大でしたがこれを乗り越え、数日後には仮設テントで臨時相談所を開設し、現在ではショッピングセンターの2 階に仮設事務所を設け会員からの相談事業に取り組まれていることなどもお話されました。

 総括しますと、今回の震災の規模は阪神大震災の倍以上の被災であり、被害総額は原発等を除いても25 兆円は超えており、国では最終負担はまだ見通せる状況にはないようです。また我々中小企業の再興にも国の目配りもなく、帝国データバンクの資料によれば東北6 県と茨城県内の企業数は12 万7985 社で、そのうち太平洋沿岸部の企業数は3 万2159 社で約4 分の1 が被害地域に立地しているとのことです。
 さらに県外企業の立地件数は延べ2 万7151 件とのことですし、年商1 億円以下の企業が6 割を占めていることを思えば、自力再興のできる企業は誠に限られていると推測せざるを得ません。

 21 日㈭の菅総理の訪問時の被災者の心に届かない、見せかけの訪問は全てを示しているように思います。総理退任に追い込まれていた直前に発生した東日本大震災を奇禍とし、延命の道具にして拙い日本語を重ねて自らの器を知らない日本国のリーダーたり得ない政治家がトップであることは、日本の不幸であり世界からの日本不信を拡大しています。更には官邸を元左翼活動家で弁護士というやっかいな連中が牛耳っており、原発事故の当事者、東京電力擁護としか取れない妙な被害者無視、情報公開操作、復興の源泉となるべき経済活動は日本の企業力をむしろ衰退させる増税や安易な赤字国債発行に傾き、知恵のない姿を曝しています。

 しかし、被災地域の子供達の姿、言葉、他者を思いやる日本人の美徳、我慢、東北人独特の粘り、「絆」に救われます。命懸けで震災直後より現場で責務を果たしておられる、自衛隊、消防、警察、医療チーム更には原発現場で復旧に命懸けで飛び込んでいる勇気ある東電の下請け企業の皆さんに感謝と敬意を申し上げます。

 さらにグッと感動しましたのは、石原プロモーション(石原軍団)社長渡哲也さんら俳優7 名が石巻市で20 日㈬までの1 週間、焼きそばやおでんなど15000 食の炊き出しをされたことです。
 軍団の皆さんは全日程を寝袋生活で風呂にも入らず、しかも現地の人には一切世話を受けない自己完結型で、軍団の結束力をもって避難民の皆さんを励ます、まさに日本人の美しい心を持った姿。そして最終日には渡さんの心に沁みる音色で奏でるハーモニカで、全員が「故郷」を合唱し、お別れは「来てくれて本当にありがとう」と150 人の避難民の皆さんは涙を流しながら大きな拍手で送られたといいます。

最後に宮古市の姉吉に立つ「大津浪記念碑」と首都東京含む地域で起きている「液状化」についてお伝えしておきたいと思います。「大津浪記念碑」は明治29 年、昭和8 年の明治三陸大津波、昭和大津波の犠牲を踏まえて建立されました。その碑の言葉は先人の悲痛な言葉に満ちています。

 全文を紹介させてください。「高き住居は児孫の和楽、想へ惨禍の大津浪、此処より下に家を建てるな、明治二十九年にも昭和八年にも津浪は此処まで来て、部落は全滅し、生存者、僅かに前に2 人後に4 人のみ、幾歳経るとも要心あれ」 今回の大津波においてもこの「石碑」の50m 下で被害は止まっています。そして江戸時代の古地図を見ると液状化の起きている地域は明らかに埋め立てにより広がった土地、又は、昔、沼地であった事が分かります。そして佐久では昔から三さん水ずい偏へんが付いた場所は、「特に水害には気をつけなさい」とお年寄りから聞いたことはありませんでしょうか?

 改めて今回の自然災害と原発のような人災、共に私ども凡人の傲慢さに警鐘をならしているのではないかと「自然への畏敬の念、先祖からの伝承」を思い浮かべ、更には日本国全体が海の底では四枚のプレートに不自然に乗っている「木の葉」のような存在であることを胸に、「日本、日本人の再生」に努力し、また、祈って参りたいと決心しております。


 
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