新年明けましておめでとうございます。

 昨年は政治経済、暮らし、年金、教育現場の悲鳴、国民にとり同時に佐久市民にとっても、また地元経済を支える商工会議所会員の皆様にとっても先の見えない不安、不信が重なり深い霧の中に身を置き、迷いの多い365 日でした。

 年頭にあたり、皆様の参考になればと思い、幸田真音(こうだ まいん)著、「舶来屋」よりの一節を引用させていただきます。

 この「舶来屋」は幾多の高級ブランドを日本に紹介してこられた、現「潟Tンモトヤマ」会長である茂登山長市郎(もとやま ちょういちろう)氏の第2次大戦の戦場経験、そして何とか母国に辿り着き敗戦直後の混乱、混沌、荒廃の中から自分の才覚により立ち上がり、新たなビジネスモデルを創造された道筋を描いているのですが私の様な者でも「涙」なく読み切ることは出来ませんでした。

 その本の178 ページに若い男女の好奇心溢れる質問、洋司(作中の登場人物)が「本当に閉塞感ばかりの世界ですよ、未来は灰色です、最初からゲームの勝敗は決まっているんです」との言葉に茂里谷氏(作中茂登山氏の仮称)は次のように語ります。

 「だったら言うが、僕らの時代は、けっして他人のせいにしなかった、いや、そんなゆとりすら無かったよ。国のせいだとか、社会が悪いとか、いくらそんなことを言っても自分の口にはなにも入らない。撃たれないで、生き延びる為には、自分が撃つしかないんだよ。戦争が終わってやっとの思いで国に帰ってきたら、今度は生きていくための別の戦争が始まった。そういう時代だったからな〜」

 そして「いつの時代も答えを見つけるのは簡単じゃない。それにどんなに難しくとも君自身が自分で見つけるしかない」と続きます。

 作者が言うように「自分自身の答え」を今年はメディアに毒される事にならないように、劣化して「社会の木鐸」たり得ないテレビ、新聞、雑誌からの影響を受けない「自らの知恵」で創っていく一年でありたいと願っています。

 今年も地域最大の総合経済団体である佐久商工会議所は役職員ともども「身を使い、汗をかき」努力して参りますのでよろしくご指導ください。


 
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