会頭 樫山高士
 昨年の参議院選挙の後に予測したとおり、いわゆる「ねじれ国会」は日本の国政の停滞の許容範囲を超え、世界のお金の移動(パワーの欧米特にアメリカから産油国やガス・希少金属等の天然資源国へ)が過激に進みつつある世界の現実を横目にしても、日本独特の内向き議論から離れられず、一方ドル安・円高は日本の株式市場の個別企業の実態を離れてニューヨークからの風圧次第と成り下がり、片や上記各国の政府系ファンドと言う名前の投機資金による日本資産買いが暴走しています。
 
産業の米とも言われる鉄鋼産業は、世界一の最大供給者になるという狙いで、まさに買収の嵐となっていて、さらには上流の資源国に価格決定権が移ってしまっています。

 こうした動きは、日本の強みであったともいえる「鉄鉱石、石炭等主要材料を安く買い、大型船舶による輸入によって海岸に立地する」という独自のモデルをつくった我が国鉄鋼産業の競争力を奪っています。

 また中国の毒入りギョウザ問題や、日本の領海内での中国のガス田開発はじめ船舶、航空機の領海侵犯に対して、我が国の総理大臣には優柔不断のイメージを消し去る強さもなく、野党党首にあっては握手してもらっただけで舞い上がり、まるで自国民を捨て中国にひれ伏しているように見えます。

 戦後以降すぐれた政策立案により国民からの信頼を確たるものにしてきた官僚も、最近は社会保険庁や国土交通省に代表されるように、年金崩壊や道路特定財源の濫用など国民の嘆きを逆撫でする失態や悪行が相次いでいます。日本の景気回復に欠かせない消費を慎重にさせ、さらに生活に欠かせない食品・燃料等の値上げにも無策で、年金改革や建築基準法の改悪等の官僚による自己防衛型の対策が、景気をさらに悪化させています。 

 その責任者である総理が、価格転嫁も認められずに社長の給料も満足に受け取れないような、困窮している地域の業種を問わない中小零細企業に対してまでも、給料を上げるよう求めるとは、まさに言語道断。

 国会議員の年金や歳費を下げ、まずは痛みを自ら背負ってこその立場の者が、空転国会により税金を浪費していて済むのでしょうか?

 強い憤りを持たざるを得ない、黄砂の舞う空を眺めての春の一日です。

                                               記 平成20 年3 月14 日

 
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