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昨年、予防接種について載せて頂きましたが、今回は3回に分けて少し詳しく説明します。1回目は予防接種の基礎的な知識、2回目は先ごろ社会問題になった麻疹、3回目はインフルエンザ、です。昨年の内容と一部重複しますが、お許し下さい。
予防接種に使用する薬(ワクチンと称しています)は大きく分けると、@生(なま)ワクチンと、A不活化ワクチン・死菌ワクチン・トキソイドの2つに分けられます。
@生ワクチン:文字通り『生きている』ワクチンで、BCG、ポリオ、麻しん、風しん、水痘(すいとう)、おたふくかぜワクチンが該当します。ワクチンの成分は毒力を弱めた病原体そのもので、これを接種すると体内で病原体が増殖しますが、毒力が弱いため症状は出ません。つまりわざと病気にかからせることになり、それ以降はその病気にはかからないことになります。ただワクチン接種後、その病気の症状が出ることがありますが重症になることはなく、他人に感染させることもありません。逆に効果が出ない、あるいは徐々に効果がなくなる人がおり、この人達が今回社会問題になった麻疹の患者さんです。
A不活化ワクチン・死菌ワクチン・トキソイド:3種類とも似たものであるため不活化ワクチンで説明します。生ワクチンと違って『活性をなくした=殺した』病原体を精製したもので、三種混合、日本脳炎、インフルエンザ、A型肝炎、B型肝炎ワクチンなどが該当します。これを接種すると、人体は『自分のものでないものが入り込んだ』と認識し、それを処理する物質(抗体と言います)を作ります。生ワクチンの場合は1回の接種で抗体が高くなり長く持続しますが、不活化ワクチンを1回接種しただけでは抗体はあまり上がらず、当然持続時間が短くなります。これを数回繰り返すことにより抗体は十分作られ、効果も長続きします。接種後1〜2日以内に発熱したり接種部位がはれる事がありますが自然に回復します。
『予防接種は子供のもの』と考えている方が多いのですが、かかったことのない病気であれば当然大人も予防接種の対象者となります。
また、海外赴任の直前に予防接種を希望される方がおられますが、上記のように複数回の接種を要するものがありますので、早目にご相談下さい。異動、出張を指示する担当者もこのことをお含みおき下さい。
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