日本では、年間3000〜3500人が糖尿病で新たに失明しております。その数は年間の全失明者の約20%を占めて、第1位です。糖尿病で失明する方には、ある一定の特徴があります。そのすべてに当てはまる方は、糖尿病で失明する可能性が高いと言えますので十分注意してください。
第1は血糖が高くても放置する方です。健康診断等で高血糖を指摘されても、通常自覚症状は全くありませんので、ついつい放置しがちです。喉の渇きや多尿などの症状は、糖尿病がかなり進行しないと出現しません。
第2は自己判断で治療を中断してしまう方です。せっかく高血糖を指摘され内科治療を開始しても、何ら自覚症状がないため治療を中断してしまいがちです。多飲多尿などの自覚症状がはっきり出てきた時には、手遅れに近い糖尿病性網膜症(糖尿病による眼底出血)ことがかなりあります。
第3は、薬に頼りすぎて、食事・運動療法を軽視する方です。糖尿病(2型・成人型)の基本は食事・運動療法で、これを常にしっかりと守らないと、かえって血統が不安定になりがちです。不安定な血統は糖尿病性網膜症(糖尿病による眼底出血)を悪化させる要因となります。
第4は、見づらくなっても、眼科受診しない方です。これが最も危険です。糖尿病性網膜症は視力1.5で全く自覚症状がなくても、重症のことがあります。見づらくなっていれば、その危険はずっと高くなります。眼科初診時の網膜症が重症であればあるほど、治療しても治りづらくなります。
第5は、眼科の定期検査をきちんと守らない方です。糖尿病性網膜症(糖尿病による眼底出血)が多少あっても通常自覚症状がなく、軽症の内は内科治療が主体で、眼科は定期検査のみのことが多く、そのため、眼科を受診しなくなる方や受診が遅れる方がかなりいます。しかし、内科治療が良好であっても糖尿病性網膜症は悪化することがあり、悪化しても見づらくならないことが多いため、眼科をすぐには受診しません。そのため、網膜症が本当に悪くなって視力低下をしっかり自覚してから、眼科を受診することになります。網膜光凝固などの治療効果が出るには最低2週間はかかり、十分な効果発現には3〜6ヶ月必要です。したがって、治療が遅れると、網膜光凝固などの治療効果が出る前に、どんどん網膜症が進行してしまい失明していきます。
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