飛蚊症を知っておられますか。飛蚊症は(ひぶんしょう)と読みます。実際にはないものが視野の中に見えて、目を動かすとそれも一緒に視野の中で動いて見える症状です。蚊のようなものが飛んでいるようにも見えるため、この名前がつきました。しかし、蚊のようなものだけではなく、色々な形のものが見えます。墨を流したようなものや、黒いゴミや髪の毛のようなもの、小さな水玉のようなものや半透明の膜のようなものが見えることもあります。ずっと見える場合と時々見える場合がありますが、白い壁や青い空などの明るい所を見た時や、新聞やパソコンをみているときに強く症状が出やすく、暗い所では、症状が出づらい傾向があります。
飛蚊症が、初めて出現した場合、また以前と比べて急に増えた場合、少しずつでも増え続けている場合は、眼底に、網膜剥離・ぶどう膜炎・眼底出血などの病気が起きてきている可能性が、他の人よりずっと高いですので、必ず、すぐに眼科を受診してください。特に網膜剥離の場合は、早期に受診することがとても大切になります。早期の網膜剥離であれば、入院せず外来でのレーザー治療(ほとんど痛くなく、5〜10
分で終了)で90 %以上は簡単に治せます。
網膜剥離は目をこすったり押したりすると進行しやすいため、眼科を受診するまで、絶対に目をこすったり押したりせず、できるだけ安静にして下さい。一般に網膜剥離は進行すればするほど治りづらくなり、初診時にすでに眼底の半分以上が剥がれてしまっていれば、入院して何回手術しても治らず、結局失明してしまう可能性が数%は出てしまいます。
飛蚊症があっても眼底に異常がない時、これを生理的飛蚊症といいます。これを効果的に消失させる薬は現在ありませんが、生理的飛蚊症なら、半年以内に、50 %以上、自然に消失してしまいます。半年を越えても残る生理的飛蚊症は、その後、一生、見えることが多いですが、同じように見えるなら、放置してかまいません。ただ、程度が強い場合は、今後、眼底に病気が起きてこないか、必要に応じて定期検査していきます。
生理的な飛蚊症と診断されても、飛蚊症の量が増えたり、見え方の異常(視力低下、視野狭窄など)が出現したら、すぐに眼科を受診して下さい。新たに、網膜剥離・ぶどう膜炎・眼底出血などの病気が起きてきている可能性が、他の人よりずっと高くなります。たとえ3
〜 5 日後が、受診予約日であったとしても、2日以内に受診して下さい。進行の速い網膜剥離なら、3日で悪化してしまいます。
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