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冬の皮膚病2
おおくら皮フ科院長 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医 大倉俊雄
大倉院長写真

佐久の本格的な冬が始まりました。前回に続き、冬に多い皮膚病として今回は熱傷(やけど)についてお話します。
熱傷(やけど)の原因としては熱湯、加熱した油、ストーブ、こたつなどの暖房器具などがあります。また夏にはいわゆる日焼けでやけどを起こすこともあります。また特別な原因として酸やアルカリなどの化学薬品による化学熱傷もあります。

熱傷(やけど)の深さによる分類では、病変部がどの程度まで皮膚が傷害されるかによって大きく三段階に分かれます。すなわち皮膚の一番表面(表皮)までの熱傷は第一度熱傷といわれ、病変部が赤くなります。表皮の下の真皮に及ぶと第二度熱傷といわれ、病変部に主に水ぶくれ、びらんができます。さらにその下の皮下組織に及ぶと第三度熱傷で、白や黒の壊死組織となります。

部位によって特に注意すべき部位があります。まず顔面の熱傷においては熱風を吸い込むことで気道熱傷を合併していることがあり、この場合ときに総合病院で呼吸管理が必要になる場合があります。さらに外陰部に受傷した場合には尿道に病変が及んでいることがあり、その場合は泌尿器科で治療が必要な場合もあります。さらに主に手指においてその関節の屈側部(曲げる側)に深い熱傷を起こすと治癒後にひきつれを起こして機能障害を残すことがあるのでときに形成外科で治療することがあります。
また面積による重症度の評価法もあります。これは年齢と上記の深さとの関係でかなり細かく分類されるので、自宅で安易に評価せず、医療機関で確認すべきだと思います。

ところで60℃くらいのカイロなどで長時間受傷した場合に低温熱傷が起こります。これは特に要注意です。ゆっくりと皮膚の障害が進むので自覚症状に乏しく、また一番外の表皮に変化が乏しく、その奥の真皮や皮下組織に壊死が広がり深い潰瘍とななって、治癒後も瘢痕を残します。(これは例えるなら温泉卵の原理です。外側の白身(すなわち表皮に相当)の方が内側の黄身(真皮や皮下組織に相当)より熱に強いので見かけは軽く見えて実は重症なのです。)

いずれの熱傷も自宅ではまず水道水で30分ほど冷却することが大事です。(ただし乳幼児の広範囲の熱傷では体温低下に要注意です)そして、最寄の皮膚科を受診してください。もちろん上記のように顔面熱傷、陰部熱傷、広範囲熱傷は総合病院が望ましいです。意外と受傷してから何日が経って二次感染を起こすなどで悪化させてから来られる方が多いです。

しかし、一番大切なのは言うまでもなく予防です。とくに乳幼児の熱傷は保護者がしっかり気を付けてあげるしかありません。どうぞ暖房器具や火の扱いには充分注意してください。

 


 
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