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会頭 樫山高士 |
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仏教では「因果」「因果応報」といって自分で罪の種を蒔かないよう戒めていますが、
今年の日本は行政、政治の担当者や教育現場、そして親子や近所などあまりに多くの
「見て見ぬ振り」の罪の種が蒔かれて来たことによる「不信」「不安」「事件」「事故」が噴出した年であったといえます。
いわゆるバブル崩壊といわれた1991年以降からの10数年で日本の様々な格差が隠そうとして隠せぬところまで拡大したとも見えます。
特に今年は行政、公務員の組織防衛の為の違法行為が根深く蔓延していること。公務員の所得は民間より低いという従来の通念は見事に逆転しており、地方公務員の平均給与は年収で720万円を超えているともいわれています。年間1800時間の勤務時間とすると時間あたり4000円を超えるという※データもあり、地元民間のパートの実態とかけ離れています。 (※三菱総合研究所)
一方、佐久地域のこの5年間の給与総額は185億円減少しており工業出荷額も約500億円の減少、そして赤字法人の率(欠損計上法人数÷全普通法人数)は80パーセントを超えて全国の税務署別の中で佐久税務署はワースト4位との※資料もあり会議所もその数字を精査し、行政と共に地域の経済実態を踏まえて具体的かつ効果的な施策を模索しなければならないと決意しています。 (※八十二経済研究所)
行政、政治がらみでは福島、和歌山、宮崎と談合事件と知事の深い関与から逮捕、立件されるという不祥事が連続しています。一旦選挙に勝てば県レベルで2万件を超えるという決定権限が腐敗の呼び水になっていること 市町村レベルでも充分なチェック能力が試されます。
国政から村までの議員の特権もその実務的な機能が果たされているかどうか、あるいは議員報酬や諸手当の実態はどうかを透明にする必要があると思います。
典型的ともいえるのは社会保険庁のでたらめな実態から、年金への不信が絶望的なレベルに達しているのに、議員年金には手つかずですし、議員宿舎は庶民感覚を超えた高額の予算300億円がわずか3分で承認され建設中です。
国政レベルの税金の無駄遣いは、岐阜県をはじめとする知事公認の裏金作りや、取り締まる側の警察でもまた労政の指導役の労働基準局でも同様の血税の公務員による詐欺的行為が、本来奉仕する役割を担うからこそ国民が信頼してきたことを裏切ることになっています。
また奈良市で起きた病気との診断書の悪用による職員の給与の受給は、別な要因も含むようですが・・以上多くの現場で「見て見ぬ振り」をしてきたことの証左ではないでしょうか。
また今年ほど生命の尊厳があまりに身勝手に踏みにじられた事件が多発した年も なかったのではないかと思います。
親が子を、子が親を殺すというような事件、報道の連鎖ではないかと懸念されるような放火事件、無差別な女性や弱者を狙った殺傷事件、男と女の欲望が将来ある幼い生命を冷たい川の水に投げ捨てたり、凡人の限りない自己中心の欲の暴走が生み出した事件には悲しい限りです。
また学校での「いじめ」「いじめによる自殺」や必修科目の未履修問題に対する校長の言葉は空しく、教育者であることを自己否定する虚言は、どちらも被害者といえる状況はあってもこれまた「教師」「家庭」「地域」の見て見ぬ振りも遠因にあるのではと思います。
以上 書き連ねて誠に空しい思いがいたします。国から県、行政の現場でも隣近所でも必ず「見て見ぬ振り」の人達が無数にいたのではと感じませんか。
どれも国民を、納税者を、生徒達を、結果として弱者を犠牲にしていることになりませんか。
「魂」の入った言動、公務員が公務員たる責務や誇りの放棄による自己欺瞞。
さらに世界の「パワーバランス」の激変が日々おきていることを日本で誰が見極め、その荒波をこえて日本という国を、国民を彼岸に善導していかねばとの当然の「外交」「国政」「啓発」がどこにあるのでしょう。自らを自らの国を子供達の未来を守る気概がどこにあるのでしょう。
また国益を損なうメデイアの無責任な報道姿勢にもこの年末も腹を立てているのです。
来年こそ節度あるそれぞれの役目を果たし、「見て見ぬ振り」をせず気づいたときに「ひと声」あげる昔の怖かった地域の長老の「げんこつ」を思い出し、自分もその「げんこつ」になったりしたいものです。
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