佐久平の真中を文字通り曲がりくねって蛇行しながら千曲川が流れ、川に平行するように小海線が通っている。小諸を出た小海線は岩村田駅を過ぎたあたりからほぼ直線的に南下し、やがて川と道路と鉄道が狭い谷間を窮屈そうに通っている。佐久市内には中佐都から青沼まで10の駅がある。長野市にはJRの駅が11あるから、それに次ぐ数である。
大正時代に先輩達が苦労して敷設した小海線だが、いまは宝の持ち腐れ、十分に活用されているとは思えない。勿体ない話である。戦前に活躍した煙突の長い蒸気機関車とガソリンカーが今は珍しいこの車輌が成知公園に保存されている。現在はディーゼル車輌であるが、近い将来ハイブリッド車輌が導入されてると聞いている。市民が生活の足として使わずに観光客に利用してもらうというのでは虫が良さすぎる。折角ある小海線を生かすも殺すも、ひとえに市民の利用にかかっている。
しかし自家用車が普及した現在、車をやめて鉄道やバスを利用しろといっても無理な話だ。小海線ばかりではない、佐久ではバスを殆ど見掛けない。たまに走っていても乗客はまばらだ。こんな時代に鉄道を利用しろとは時代錯誤も甚だしい嗤われることを百も承知の上で小海線の活用を提案しようと思う。
いまのままの小海線では利用しにくい。民営企業であるから、簡単にはゆかないと思うが、市民の願望をぶつけないことには始まらない。先ず小海線を電化し、小諸から上田、軽井沢長野方面へしなの鉄道と相互乗り入れできないだろうか。上田や軽井沢方面から佐久平まで通う信州短大の学生は小諸で乗り換えなければならない。御代田と岩村田はほんの指呼の距離だが、鉄道で通学するには不便で上田方面へ流れてします。駅も工夫が必要だし、ダイヤもせめて30分に1本は欲しい。車輌は1両でもよい。最大の問題は駅までのアクセスである。2〜3kmの距離なら若者は歩けばよい。平坦地なら自転車もよい。
佐久は長寿の町、これをいつまでも保つには若いときから足腰を鍛えておかなくてはならない。朝夕の通勤に駅まで歩くことを奨めたい。お年寄りは車で駅まで送迎してもらって小海線で目的地へ行く。これこそ健康で長生きする一つの方法だと考えるがどうだろうか。
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