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 佐久平に短い夏が来ようとしてます。今日は夏に多い皮膚病として、虫刺されについてお話します。「虫刺され」(虫刺症)は「かぶれ」(接触性皮膚炎)とともに夏に皮膚科を受診される皮膚病の中で代表的な疾患といえるでしょう。
 「虫刺され」のなかで、六月七月に多いのは「毛虫」です。「毛虫」の「虫刺され」が他と異なるのは口で咬む(刺す)のではなく、背中の毒針で刺すのです。ですから、一匹の毛虫で複数箇所(ときに数十箇所)を刺してきますし、(毛虫本体は服を通り抜けませんが)針は服を通り抜けますので非露出部(脇や胸、腰など)にも刺されます。原因として一番多いのは「チャドクガ」の幼虫です。比較的小さい毛虫のなので触ったことに気づかないことも多いです。
 家の中で刺される場合は「ダニ」による場合以外に犬や猫に寄生している「ノミ」が原因であることもあります。特に多いのは「ネコノミ」です。飼い猫が室内と室外の両方を行き来するような飼い方をしている場合の多いような印象を受けます。「ネコノミ」も小さいので非露出部を刺してきます。人の体で繁殖することはありません。
 山や林で刺されて強い炎症を起こす虫の代表格は「ブヨ」です。キャンプなどに行ってさされる場合に多いです。ときに歩けないくらいに腫れたり、痛みがあり、また適切な治療をしないと刺された部位しばしば「しこり」を残してしまいます。
 危険な虫刺されの代表は「蜂」です。「蜂刺し症」の怖さは全身症状(アナフィラキシー)で、血圧低下、呼吸困難、意識消失など、ときに命にかかわります。
 「虫刺され」の治療には「塗り薬」「飲み薬」「注射・点滴」があります。軽い虫刺されには塗り薬だけで良い場合もありますが、薬を選ぶ基準は「刺した虫の種類」「刺された部位」「年齢」「診察上の炎症の強さ」「自覚症状の強さ」などです。おなじ虫に刺されても子供の顔と成人の腕の場合は当然薬も変わってきます。「飲み薬」はかゆみ止め(抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤)が一般的に使われますが、症状が強ければステロイド内服剤も処方します。「注射・点滴」は全身症状が出ているときや、局所症状だけでも特に重篤な場合に施行することがありますが、いわゆる注射一本打つだけで治すことは出来ませんので、「塗り薬」「飲み薬」と併用となります。生活制限としては、症状が強い人にアルコールを制限したり、運動や風呂も休んでいただくこともあります。ところで、この虫刺されの治療法は「かぶれ」(接触性皮膚炎)の治療とほぼ同じです。
 虫刺されに引き続いて起こる病気の代表格である「とびひ」(伝染性膿痂疹)については前々回にこの欄で説明したとおりです。夏は虫の季節と言ってもいいくらいに、我々の生活環境に虫がたくさん生息していますので、100%予防することは困難です。市販の薬で治らない場合や、自覚症状が強い場合には最寄の皮膚科受診をご検討ください。

 
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